‘09.12爆音訴訟団要請書


                                       2009年12月22日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫殿
外務大臣   岡田克也殿
環境大臣   小沢鋭仁殿
防衛大臣   北澤俊美殿
  
    全国基地爆音訴訟原告団連絡会議代表            藤田栄治
    四次厚木爆音訴訟原告団団長                 藤田栄治
    横田基地飛行差し止め訴訟原告団団長           浅野太三
    第5次・6次小松基地爆音訴訟原告団団長          出渕敏夫
    新嘉手納基地爆音禁止訴訟原告団団長           仲村清勇
    普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟原告団団長     島田善次
    岩国爆音訴訟原告団団長                    津田利明
    横田基地等の公害対策を進める準備会事務局長     大野芳一

            基地爆音被害を解消し、
       基地周辺住民の生活環境の早期改善を求める要請書

 私たちは、全国各地に存在する米軍基地および自衛隊基地周辺で生活を営んでいる住民です。私たちは、今日まで半世紀以上にわたり、これらの基地を使用する米軍機や自衛隊機の爆音による身体的被害や精神的被害、生活破壊、航空機の墜落事故、さらには地域発展の阻害など「基地が存在することによる様々な被害」を被ってきました。
 
私たち基地周辺住民は、このような基地被害を解消し「平和で静かな生活環境を取り戻す」ため、「基地を使用する航空機の飛行差し止め」「爆音被害に対する損害賠償」などを求めて、1975年に小松基地周辺住民が、ついで横田、厚木、嘉手納の基地周辺住民が、さらに普天間、岩国の基地周辺住民が各地の地裁に提訴し、現在も係争中もしくは新たな提訴に向けて準備を進めている状況にあります。
 
このことは、すでに決着をみたいずれの裁判でも、「爆音は住民の受忍限度を超え、違法状態にある」との明確な司法の判断が示されているにもかかわらず、歴代自民党政権は「対米追従政策」を推し進めるあまり、違法状態にある爆音を放置し、いまなお基地周辺住民を激甚な爆音にさらし続けているからであります。
 
いずれにしても、住民が生活を営んでいる住宅密集地の上空で、激しい軍事訓練飛行を行うこと自体が世界に類のない異常なことであり、一刻も早く爆音被害解消に向けた抜本絶対策を講じることが、国の果たすべき喫緊の課題であると考えます。
 
爆音被害に苦しみながら生活を営む私たち基地周辺住民も、爆音被害の無い地域で生活を営む住民と同じように、日本国憲法で謳われている「平和のうちに生きる権利」と、「個人の尊重・生命・自由・幸福の権利」さらには「生存権」を等しく保障されているはずであります。
 
今般、「緊密で対等な日米関係の構築」、「日米地位協定の改定提起」および「米軍再編や在日米軍基地の在り方の見直し」を掲げた貴政権の誕生は、私たち基地周辺住民にとり「爆音のない平和で静かな生活環境を取り戻す」という、永年の悲願が実現することと大きな期待を寄せているところです。                  
 
私たちは司法か示した「違法状態にある爆音被害」の解消を強く求め、下記の通り「改善要請」を致します。

 
 
貴職に於かれましては、永年にわたり過酷な爆音被害にさらされ続けている、私たち基地周辺住民の思いを真摯に受け止められ、誠意を持って今要請の検討に早急に取り組まれ、「爆音のない平和で静かな空」が一日も早く実現するよう要請申しあげます。
               記
             [改善要請]

1.各爆音訴訟判決で示された「爆音は基地周辺住民の受忍限度を担え、違法状態にある」との司法の判断を真摯に受け止め、「爆音のない平和で静かな生活環境」の一日も早い実現に向けて、「航空機の飛行差し止め」など「航空機の爆音音源対策」を早急に講じられたい。
  過去三十数年にわたる各基地の爆音訴訟では、「爆音は周辺住民の受忍限度を超
  え違法」との判決が幾度となく示され、被告・国に対して「爆音被害に対する損
  害賠償金」の支払いを命じています。しかしながら、「爆音被害の音源対策であ
  る航空機の飛行差し止め」は棄却および却下され、根本的な音源対策は放置され
  続け、爆音被害は全く解消されておりません。
  そのため、私たちは「爆音被害の抜本的対策」が講じられ、「爆音被害がなくな
  り、平和で静かな生活環境を取り戻すまで」今後も繰り返し繰り返し司法に救済
  を求めざるを得ない結果となっています。
  このような、国と私たち基地周辺住民の不幸な対立を無くすために、「航空機の
  飛行差し止め」など「爆音の音源解消の抜本的対策」を早急に講じられたい。

2.各基地を使用する全航空機等の運用を規制した、「航空機騒音規制・基本協定・確認
  事項」の改定と、訓練飛行なとの全面禁止を含む「騒音の根源対策」を強く推進され
  たい。
    日米合同委員会で合意された厚木海軍飛行場、横田飛行場、嘉手納および普天間
    飛行場における「航空機騒音規制措置」や、小松基地周辺の「騒音対策に関する
    基本協定書」、岩国日米協議会での「確認事項」で規制している、「飛行制限時間」や「飛行コース」「飛行高度」「エンジンテスト規制」など、防衛大臣所管の自衛隊機でさえ「規制措置」が守られていない。
    ①「騒音規制条文」の中で「適用除外文言」か多くあり、実質的には規制さ  
     れていないに等しい。従って次のような「文言」を削除し、適用除外を認
     めさせない措置を執られたい。
      ・「在日米軍の任務に支障をきたすことなく航空機騒音に・・・」
       ・「任務により必要とされる場合を除き・・・」
       ・「運用上の必要に応じ、及び合衆国軍の態勢を保持する上に緊要と認
     められる場合を除き・・・」など。
    ②国内外の他基地からの飛来機が、「騒音規制措置」を守らず、飛行コース、   
     飛行高度等を逸脱して飛行を繰り返している。
    ③ 航空機騒音の根源である訓練飛行を含む次の飛行を全面禁止とされたい。
     (1)基地周辺の居住、生活地域における訓練飛行およびデモフライトの禁止
     (2)特定日の飛行禁止
        ・土、日曜日  ・国民の祝日  ・地域、学校行事日  ・年末、
        年始  ・入学試験期間 など

3.米軍再編については、空母艦載機は「空母と硫黄島との直結方式」とし、また「普
  天間基地は国外へ移転」させ、国内各基地への航空機の飛来はさせない措置を講じ
  られたい。
    「基地周辺住民の負担を軽減する」として、前自民党政権は米国政府と合意し、
    国民の民意を無視して「米軍再編」を推し進めて来たが、基地被害の解消対策
    は行わないまま騒音を放置している。このままの状態で米軍再編を行うことは、
    「環境破壊、被菩の拡散」を招き「基地被害のタライ回し」に過ぎず「地元負
    担の軽減にはならない。
    全国各基地(自衛隊基地も含む)への航空機の飛来を、全面的に禁止する以外
    には基地周辺住民の爆音被害解消は不可能である。

4.軍用空港の「立地および運用に関わる環境基準」は「環境基本法」を適用し「基地周
辺住民の生活環境を確立」されたい。
軍用空港の環境基準は「環境基本法第16条第1項1に示された、環境基準値・
地域の類型A及びB」を適用されたい。
また、「航空機の油煙等」による「大気汚染」も日本国内法に準拠し、住民の健
康の保護及び生活環境の保全を図られたい。

5.軍用空港の運用に関わる「安全」を保持し「基地周辺住民の安全の保障を確立」され
たい。
基地周辺住民は軍用機が轟音を発して上空を飛行するたびに、「航空機の墜落」
や「部品の落下」などの恐柿を抱きながら、毎日の生活を営んでいます。
悲惨な航空機事故の防止対策は当然のことながら、万が一不幸な事故が発生した
場合の事故原因の究明は「日米合同で徹底的な調査」を行い、その結果を公表さ
れたい。また、再発防止のための安全確認および対策が日米双方の合意を得るま
では、当該事故機種は運用させない措置を講ぜられたい。

6.米軍機の「低空飛行訓練」は全面禁止とし、飛行直下に居住する住民の被害を解消さ
れたい。
「敵レーダーの探知を逃れながら攻撃する低空飛行攻撃訓練」が、国内各地の山
間部で頻繁に実施され、「訓練飛行直下の地域住民」は基地周辺住民に匹敵する
爆音被害を受け、さらに墜落事故、物損事故等も多発し、日常生活を妨害されて
います。これは米軍が規制をされることなく自由に訓練を行えることにあります。
従って、被害地域住民の「生活環境を守る」ことを目的に、国内での「低空飛行
訓練」の「全面禁止」を速やかに図られたい。

7.「爆音被害に対する損害賠償金のうち米国負担分」について、米国政府に対して速や
かに支払い請求を行い、回収されたい。
過去、「各基地爆音訴訟」で原告に支払われた「曝音被害に対する損害補償金」
について、「日米地位協定」の定めるところにより、米国政府に対して速やかに、
「その75%の支払い」を求め、確実に回収されたい。

以上