要望書


*以下の文書を依頼文書と供に配布し、要望書提出に賛同の署名を呼びかけた*
   
要望書 艦載機を岩国基地へ移す計画を中止して下さい

 イザナギ、イザナミが本州などにつづいて「大島」を生んだという神話の時代から、大島は瀬戸内海の平和な島として島民に敬愛されてきました。大島の平和は明治維新や第二次世界大戦の激動のなかでも失われることはありませんでした。島を離れた人々にとっても、大島は常にオアシスであり、定年退職したら島に帰って心ゆたかに暮らしたいと考える人は少なくありません。
 
 ところが厚木基地からアメリカ軍の艦載機五十七機を岩国基地に移すという計画がおこされて、いま大島の平和は重大な危機に直面しています。艦載機の移動はたんに岩国基地とその周辺に影響を及ぼすだけでなく、艦載機の飛行コースの真下に位置する大島は、ジェット機100機の爆音を浴び続けることになります。島民が大切に守ってきた島の平和は無残に蹂躙されてしまいます。
 
 ジェット機の離着陸訓練の爆音がどれほど激しいものであるかは、体験した者でないとわからないかもしれません。これまでのように時折数機が上空を飛行する程度なら無視することも出来るでしょうが、防衛庁説明のように1日400回飛行となると、かりに昼間の訓練時間が朝七時から夕方七時まで十二時間とした場合、平均二分おきに大島の空をジェット機が横断飛行することになります。岩国基地では一時間半、ぶっ続けに飛行したこともあるといいます。これはとても住民に耐えられるものではありません。日常生活の静穏はなくなり、育児や教育にも被害をもたらし、若者の定住や人口増加も不可能になります。老後を大島で過ごそうと考えていた人たちも躊躇せざるをえません。
 
 防衛庁が発表した予測地図によると、艦載機が岩国に移された後の騒音区域は、北は宮島から南は周防大島町三蒲と浮島にいたる地域に拡大されるといいますが、もちろんジェット機爆音は地図に示された騒音区域の中に閉じ込められるものではありませんから、周防大島町全域がジェット機の轟音に覆われることになります。防衛施設庁も、大島の「騒音被害が増大する」と説明しました。ひとたび計画が実行されたら、今後数十年はそれを変えることはできません。毎日爆音が轟く状況になって思慮不足を後悔しても、あと戻りは出来ません。

騒音公害とひきかえに国から財政的援助を受ければよい、という考えかたもあるようです。しかしいかに周防大島町が貧しいといっても、国から財政援助を受けるために、これから長い年月続くであろうジェット機騒音公害を受け入れるようなことをしたら、その被害を受ける次の世代の人達にどう弁明できるでしょうか。いずれ刊行される「周防大島町史」の第一ページに記される歴史としては、あまりにも悲しい史実です。
 
 国は強引に計画を実行しようとしていますが、その地域の住民の了解無しに国が一方的にきめた方針によって、外国軍のジェット機騒音を持ち込むことは許されないでしょう。
 
 ジェット機移動計画にたいして、すでに周防大島町長は反対の意思を表明し、議会も反対決議をし、さらに特別委員会を設置してこの問題にとりくんできました。国はなかなか譲歩しませんが、計画中止の方針をかえることなく、さらに全力をあげてご尽力くださいますよう、同じ願いをもつ人たちの署名をそえてお願い申し上げます。

 二〇〇六年二月  日  
                        周防大島町住民有志一同
            殿 
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